日本の美*着物 19歳
着物モデル
リーナ・エダ19歳
モデル撮影で特にお気入りのアイテムは着物撮影。
ウエディングドレスもいいけれど、やっぱり着物が一番好き!
着物がよく似合うと業界で評判になり、
全国の呉服屋さんや着物の雑誌社から出演依頼が相次いだ。
日産自動車・大型ポスター
リーナ・エダ20歳
日産自動車の大型ポスターである。
ポスターの原盤は手元になく、その時のポラロイド写真。
都内の駅に大々的に貼られていたので、ちょっと恥ずかしかった。
母が着物の着付け師ということもあり、
子供の時から着物を着る機会も多く、親しんでいた。
世界中に国々の民族衣装があるけれど、
日本の着物がピカ一に思えるのは私だけだろうか…。
着物の素材となる絹の布地は、
季節によって絵柄が変わり、質感や織りも変わる。
日本の四季が見事に描かれ、着物に反映されているのだ。
日本の着物は、
大自然の姿が映し出された芸術品そのもので、
美しい調和を奏でながら、人々を楽しませている。
なんて素晴らしい!
成人式 写真館
リーナ・エダ20歳
いつの間にか時が過ぎ、20歳になる時を迎えた。
1月の成人の日、同級生と共に成人式のお祝いをした。
着物の中でも真っ白な着物が一番のお気に入りだった。
この日は新しく成人する思いを込めて、
お気に入りの純白の着物を選んでみた。
アクアブルーの糸と銀糸で紡いだ帯と
ブルーと金糸で紡いだ帯締めを合わせ、
白地に刺繍入りの襟とブルーの色襟を合わせ、
シンプルながら小粋なスタイリングで仕上げた。
お正月の祝賀会やパーティーでは、
今でもこの着物を着て颯爽と出かける。
着物を着ると身が引き締まり、心も引き締まる。
背筋が真っ直ぐ伸び姿勢が正されることもあり、
気高い気持ちになり、精神が高まるのだ。
最近は、浴衣を着る女性が増えている。
私の住む街「鎌倉」では、
優美なる浴衣美人で賑わい、華を添えている。
日本の文化が見直され、
若者の心に届くことを祈りたい。
着物カタログ
リーナ・エダ21歳
20歳になると着物モデルの撮影が増えた。
なぜか着物を着ると、
おしとやか気持ちになるから不思議である。
洋服の撮影よりも着物の撮影が嬉しくて楽しかった。
着物を着ると何かに抱かれる深い安心感に包まれるのだ。
日本人のDNAが反応するのか、妙にしっくりくるのだった。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
母は着付け師として、広告業界で仕事をこなしていた。
高島屋の着物ポスターから着物カタログまで、
30年近くモデルさんたちに着物を着せ、
数多くのモデル撮影に立ち会った。
“着物の女王”コンテストの舞台の着付けから、
呉服屋さん主催の着物ファッションショーまで、
日本全国を縦横無尽に行き来し、大活躍した。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
呉服屋『鈴乃屋』
着物ポスター
リーナ・エダ22歳
鈴乃屋のカタログやポスターの仕事は
何よりも楽しみだった。
優美な着物の絵柄に触れるだけで、
心が和み、温かい優しさに包まれる。
着物に描かれている絵柄ひとつに触れても、
文化や歴史を肌で感じ、素晴らしく感動した。
この美しい着物には
春から初夏にかけての季節の花が散りばめられ、
帯はクジャクの羽根が淡い色調で
優美さを讃えて見事に描かれている。
帯揚げ、帯締、色襟はすべてオレンジで統一され、
黒と朱の交わりが絶妙なコントラストをもたらす。
着物は日本の誇れる文化そのものであり、
日本人の誇りでもある。
呉服屋『鈴乃屋』
着物カタログ
リーナ・エダ22歳
着物を着ると、
自然と姿勢が良くなる。
すっーと背筋が伸び、
意識の高まりを内に感じるのだ。
鈴乃屋さんのカタログから2点選んだ。
4月は桜が咲き誇り、
柔らかいピンクが映える季節、
女性の内面にある優しさが自然ににじみ出てくる。
6月は梅雨が訪れ、
辺りの木々や葉を潤し、
柔らかい色の紫陽花が咲き始める。
蛇腹傘を片手に、
凛とした気持ちがこの季節を迎える。
着物は身体を覆うだけでなく精神を培うのだ。
ここに日本精神の根っことなるものを私は感じた。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
東京・銀座 松竹スタジオ
着物モデル
リーナ・エダ23歳
この日は松竹スタジオに出向き、
常日頃から女優さんを撮るカメラマンと、
お気に入りの着物でプライベート撮影である。
真っ白な着物にブルーと銀糸の帯、
襟元は白地に刺繍、色襟は淡いピンクと濃いピンク、
内襟には淡いピンクに濃いピンクの桜の絵柄、
髪の毛は無造作に結い上げ、
象牙の箸とピンクの和紙で演出。
さあ、撮影開始。
日本の着物は“織り”と“染め”の2種類に分類される。
“織り”は最初に糸を染めておき、
後から織り上げる着物を指すのである。
“染め”は白い生地を織り上げ、
後から生地に模様を手描きしたり、
様々な色を染めたりする着物を指すのである。
“織り”の着物は表と裏が同じ繊維なので、
表の色が褪せてきたら、裏返しにして縫い直すことで、
新しい着物として生まれ変わる。
“染め”の着物も、もう一度、新たに染め直すことで、
新しい着物として生まれ変わるのだ。
ここにも
日本人のモノを大切にする精神文化が
見事に反映され、
深く根付いているように私は思う。
この日は23歳のお誕生日だった。
この着物撮影が美しい作品として生まれたように、
すべてが順調で、人生は色鮮やかに華やいでいた。
この後、大きな転機が訪れ、
人生が大きくシフトすることを知る由もなかった。
合掌
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️